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クローン病&潰瘍性大腸炎通信-<4>
今までは、主に論文調でしたが今回は、もっと身近な食事についてお話しします。
炎症性腸疾患における食事療法について
1.潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎については、活動期で腹痛があり、血便、粘血便が一日に10回をこえるような状態でなければ、食事については、特に食べてはいけないものはありません。しかし、日常より、できるだけ規則正しく、暴飲暴食を避けることが大事です。大腸は基本的には水分を吸収する臓器ですので、極端に脂っこいものや、辛いもの、炭酸飲料などはあまり好ましくありませんが、あまり病気を意識しすぎないように生活することが大事です。前に述べたような活動期では、入院した患者さんには繊維分を少なくした低残渣食を供します。症状が安定しているときでも、繊維を摂りすぎないように注意しましょう。
2.クローン病
クローン病は、潰瘍性大腸炎と違い、あらゆる消化管が病変部位となります。また、最近の研究で、異物を処理する細胞や、一部のリンパ球などの免疫を担当する細胞の反応異常が明らかとなってきました。何らかの外来抗原(食事野成分、異物、病原体など)の侵入とそれに対する免疫系の反応異常が想定されています。
クローン病の治療の基本は、栄養療法と薬物療法の組み合わせです。栄養療法は成分栄養療法と完全中心静脈栄養に分かれます。成分栄養療法は、食事に含まれる蛋白質(抗原の主体と考えられる)を取り除き、抗原性をもたないアミノ酸を蛋白源とし、脂肪分もほとんど取り除いてあります。
入院し、成分栄養療法から始め、緩解導入し病勢にあわせて薬物療法を併用しながら、半消化態栄養剤、低残渣食、そして治療食へと進みます。クローン病の治療食は、基本的には、低脂肪・低残渣・非刺激物が中心となります。外来通院になっても、一部半消化態栄養剤を併用したり、成分栄養療法を続けたりしなければならない場合もありますが、自己判断せずに主治医の先生の指示に従ってください。そして、何故それが必要なのかをご自身が理解していただきたく思います。
日常生活においての食事は、先に、述べたように、低脂肪・低残渣で消化吸収が良いものが基本です。香辛料の多いもの、炭酸飲料水、アルコールは避けることが賢明です。しかし、あれもダメ、これもダメ、と考えることは、ストレスとなります。我々の行ったクローン病患者さんのアンケートでも、この点が日常生活の不満点の上位を占めています。ダメなものを気にするより、何が食べられるか、食べられる食品を増やすように心がけましょう。各個人によって、あるいは病勢によって食べても大丈夫なもの、ダメなものは様々です。自分にあった食生活を見つけ、できるだけ豊かな生活をおくれるように工夫しましょう。
最後に、慶応義塾大学医学部内科の日比紀文教授がまとめられた「クローン病の正しい知識と理解」より,
食事を摂るうえでの注意事項の項目を以下箇条書きにします。参考にしてください。
『食事を摂るうえでの注意事項』
1.脂肪の多い食品は避けましょう。
2.食物繊維を制限しましょう。
3.タンパク質の摂取は植物性の食品や魚介類からとるようにしましょう。
4.刺激のあるものは避けましょう。
5.甘いもの、冷たいもののとりすぎを避けましょう。
6.味付けは薄味にしましょう。
7.1日の食べる量を守りましょう。
『外食をするときの注意』
1.炎症があり、下痢がある時は外食はしない。
2.外食はとくに脂肪が多いため、選ぶ料理に注意する。
3.揚げ物料理は衣をはがして食べる。または残すなどの工夫が必要。
4.ソース類(マヨネーズ、ドレッシングなど)はかけない。
5.食べてよい食品、悪い食品を知り、残すまたは選ばない。
6.1回の食べれる量を守る。
7.外食は1日1回以内にする。
8.食事時間は規則正しく。