外来の裏話
カルテNo,12 命がけの診察
- 患者
- 37才の暴力団組員
- 主訴
- 俺の眼のゴミを取れ!
- ストーリー
- 昼休み中の出来事。
大声を上げながら組員風の男がいきなり怒鳴る。
「おい!ここには眼医者はいないか?」「俺の眼のゴミ取れ!」 受付の女性は全員避難させ,万が一の時110番する事を指示した。
それと同時に思わず2倍の大声で怒鳴り返してやった。
「テメエはここがどこだと思っているんだよ,この野郎!さっさと出ていけ!」
「おまえか?眼医者は?俺の眼のゴミを取れ」 真っ赤に充血し確かに痛そうである。
頭に来た私は「医者に診て貰うやつが医者に命令するのか?」
「ふざけるな,ぶっ殺すぞ!」
「何だおまえは態度が悪いぞう,この野郎」
しばらく罵声が飛び交ってようやく痛みに耐えきれず「お願いします」と来た。
「他の眼医者へ行けよ,馬鹿野郎」と診療拒否の姿勢を見せた。
結局,点眼麻酔もせず,針で大きな鉄の粉を摘出しておしまいとなった。
正規の治療費を払って貰い,帰宅させた。
- 考察
- 凄い会話になったが 昼休み中の出来事で良かった。
もし,他の患者さんがいたら。。 。
きっと暴力団の眼医者と噂されたに違いない。
驚いたのは社員であろうが,一番驚いたのは組員だろう。
もう一人の組長がまさか病院にいたとは夢にも思わなかったのだろう。
私に言わせると,一般の会話が通じないので合わして上げたに過ぎない。
酔っぱらい,組員,前科者などあらゆる職種の患者が来るが医師はレベルを合わせる必要がある。
それが本当の意味でのインフォムド コンセントである。