外来の裏話
カルテNo,13 危うく中絶か?
- 患者
- 若いカップルさん
- 主訴
- 人間ドックを受けたい
- ストーリー
- 若いカップルが結婚を期に人間ドックを希望して来院した。
「私たち今度結婚するので体の事を調べて貰いたいです」と言って仲良く来院した。
「それはおめでとう。いつ?」「来年の3月です」 検査の項目を説明し,予約をして帰る。
予約日の当日,採血と心電図の検査を済ませいよいよバリュムの検査の番となった。
女性の方の問診票には妊娠の可能性はないと書いてはあったが,どうしても気になり「失礼ですが妊娠している可能性は?」と尋ねると「絶対にありません」との返事であった。
検査が無事済み,一週間後検査結果を説明した。
「二人とも完璧です,どうぞお幸せに!」二人とも満足そうに帰った。
さらに,2週間後今度は奥様から「先生,検査日には妊娠していた様です」との電話があった。
「いますぐ来てください」と呼んで婦人科と相談し,正確に計算をすることになった。
その間,本人の書いた問診票を見て妊娠の可能性は?の問いに本人の自筆でないに丸がついていてホットした。
その結果は幸いに検査直後の妊娠であった。
- 考察
- この種のトラブルは以外と多い。
当院では生理中か生理後一週間が経たないと絶対にバリュムの検査はしない事になっている。
もちろん,妊娠の可能性の全くない人には関係のない事ではあるが。。。。
その可能性の全くない人の鑑別が実に難しい。
妊娠中にバリュムの検査をした為,やむを得ず中絶をする人は研修医の時代から何人も見てきた。
妊娠していて事も知らずに6ヶ月が経った言う患者さんに出会ったこともある。
その間,タバコはもちろん睡眠薬,アルコ-ルは飲み放題。
その子が今頃どんな人生を送っているのだろうと思うと心配である。
自分が妊娠しているかどうか位は常に把握して頂きたいと世の女性にお願いしたい。
女性諸君!バリュムの検査を前に検尿による妊娠反応を行うなんてイヤですようね?