外来の裏話

カルテNo,18 病気によって性格が変わる

患者
46才の傲慢なワンマン社長
主訴
ものもらいが出来た
ストーリー
「右の眼が痛いです」と久しぶりにあの社長が来た。 「ものもらいですよね?」と相変わらず自分で診断して自分で治療をしたがる。 「これはやっぱり手術になりますね」と説明すると元気のない声で続ける。 「薬局で目薬買ったのですが,全然効かないですね」 「お酒は飲んでいませんか?」と聞くと得意そうに「毎日飲んでますよ」 「もう少し早めにいらっしゃれば切らずに済んだのですが・・・・・」 最初から最後までとにかく元気がない。 内心「いつもこの人はものもらいだったら,いい人なのに・・・・・・・」と思った。
考察
眼は心の窓という名言がある。 その眼をやられては心も身もない。 顔の中でも特に眼が腫れると心も腫れるらしい。 特に上瞼だと重みを感じ,対人関係でも不思議なコンプレックスが襲う。 嫌われる性格だから医者にも嫌われ,医者嫌いになるから治療も遅れるの悪循環。 眼が腫れては見栄も張れない。 人の性格を一時的にしろ,これほど見事におとなしくさせる薬はないと確信する。 それにしても未だにものもらいは人にうつると誤解している人が多い。 言い換えれば,誰かに移されたと被害妄想になっているのも性格が変わる理由の一つかも。