外来の裏話

カルテNo,20 労災はイヤ?

患者
52才の大工さん
主訴
左膝が痛い
ストーリー
現場で誤って転落し,大きな釘が膝に刺さったままで来院。 長さ6センチの釘を抜去した。 治る前は「労災でも何でも良いから早く治して欲しい」と言っていたのに治ると 「先生,労災は困ります」と言い出す。 ようやく上司と相談し,労災を適応した。
考察
労災は誤解されているので説得に大変。 国の啓蒙が足りないのが原因であろう。 労災を避けたがる理由は「下請けなので」「パ-トだから」「面度だから」「上司に叱られる」「自分の不注意だから」「会社の方針だから」「労災の掛け金が上がるから」「会社に申し訳ないから」等々実に様々である。 ひどい場合は自宅での事故と偽ったり,第3者を通じてクレ-ム。 労災かどうかは医者に決める権利があるのかと問いつめられたりもする。 保険を適応してくれる病院を探すからとも言われる。 時としてあいまいな場合がある。 会社の帰り,一杯飲んで交通事故に。 通勤途中の労災か自動車賠償責任保険か? 国はもっと労災が正しく認識される様に啓蒙して欲しい。 医師には啓蒙の義務はない。 労災の意味も正確に知らずに給料から引かれている会社員も愚かであるが・・・・・・・