外来の裏話

カルテNo,22 悪徳タクシ-会社の未払い騒動

患者
21才のアメリカ人ダンサ-
主訴
neck is painful
ストーリー
交通事故で来日したばかりの若いアメリカ人が交通事故で来院。 タクシ-の運転手が赤信号を無視し,乗客の患者さんがけがをさせたとのこと。 約2週間通院の末,気の毒にも本人は仕事を失い,帰国して治療を続ける事になった。 約束通り,タクシ-会社に治療費を請求したが会社の回答はなし。 毎日「担当者がいない」「折り返し電話させます」「伝えておきます」の繰り返し。 金額は6万円程度であったので,弁護士に依頼する程ではない。 あっという間に6ヶ月が過ぎた。 内容証明付きの請求にも全く反応はなく,当然支払う意思も連絡もない。 同じ手口でどれ程多くの患者や医師を泣き寝入りさせてきたかを思うと放置は出来ない。 無線タクシ-の共同組合に加盟していたため,担当者に事情を説明した。 即日,タクシ-会社の社長自らが治療費とお詫びに来たため,厳重に注意し,解決した。
考察
自賠の場合は保険会社が間に立っているため,トラブルはほとんどない。 患者本人の言い分だけを聞いて被害者であると信じ,治療費の立て替えをしたら,実は加害者であった場合位であろう。 本件以来,タクシ-会社の過失による交通事故は会社から一筆を頂くようにしている。 タクシ-会社は一部ではあるが,この様なこころのない会社が時々ある。 治療が長引くと,患者さんや病院に保険への切り替えなどの圧力をかけてくる場合もあるので要注意である。 最初はあんなに「丁寧に治療費は全額治るまで面倒見ます」と約束していたのに・・・・・ 圧力に屈し,自費か保険で治療する人も少なくないと思われる。 交通事故は自賠が優先である旨を伝えると,他の整形外科に保険で通うかも知れない。 医師は常にどんな場合でも患者さんの立場で治療を続けるもの。 保険は生命保険だけでなく,傷害保険にも入っている方が安心かも知れないが・・・・・・ 交通事故によるけがは必ずきちんと治しておく必要があり,そのためにも警察に必ず届けて出して人身事故扱いにして下さい。 警察への診断書は全治2週間と書く場合が殆どですが,日本の法律では3週間以上ですと傷害事件に切り替わるためです。 実際には以外と長引くもので平均6ヶ月の治療が殆どです。 いわゆるむち打ちは事故直後には症状がありませんのでやっかいなのです。 例外として希に怠慢か多忙を理由に警察から人身扱いが出来ない場合があったり,加害者が非を認めないときもありますが,被害者請求という法律で守られています。 一番良いのは事故に遭わないことですが・・・・・・・・