外来の裏話

カルテNo,27 勝手に薬は貰わないで

患者
28才のサラリ-マン
主訴
水虫が治らない
ストーリー
「水虫がなかなか治りません」「どんな薬を貰ったの?」「友達からこれ貰いました」「それじゃ,良くなるどころかひどくなるよ!」「本当ですか?」 毎日一度は経験する会話である. もちろん,その逆もある. つまり,幸運にも良くなってしまうケ-スも.
考察
一番良く経験するのはステロイドの塗り薬. 最強から最弱まで数段階ある上,禁忌もある. この世には本当に親切な人が多く,時として困る. 薬局で買った薬も同じ. 大きい声では言えないが,時として他の病院で貰った薬も. ニキビ,水虫,帯状疱疹にはステロイドは使わないのが常識である. 同じステロイドでも顔に使えるものと眼に使えるものと足に使えるものとみんな違う. 病状によっては顔に使うものを足に使ったりもする. 薬は簡単に見えても複雑で使い方一つ間違えると大変. 飲み薬も全く同じである. 薬の使い方は医師の腕の見せ所でもあり,料理士の腕の見せ所と似ている. 薬は副作用がない薬はまずないと考えて良い. 最近,マスコミの影響か薬は飲みたくないと言う困った方も多くなった. 治療してもらいに来て治療しないで下さいとは?と驚かされる. 薬を信じる前に自分の医者を信じてもらいたい. 薬価が高かった頃,一部の先輩達が残した薬漬け医療の後遺症と思っているが.....