外来の裏話

カルテNo,40 実は先生が好きです

患者
25才のOL
主訴
のどが痛い
ストーリー
必ず一番忙しい終診間際に来る.「ごめんなさい先生,どうしてものどが痛くて」「会社の終わるのが遅くてやっと来ました」具合が悪い割には愛嬌はたっぷりでいつもにこにこである. 診察が終わると帰りにエレベタ-で一緒になることもしばしば. ある日,問題発言が. 「先生の事が好きなんですけど......」 「君,ここは病院です!」 二度と来なくなってしまった.
考察
医者も人間なので当然恋もしたいし,おいしいものは食べたいし,お金もほしい. 親切に診て上げる事が原因で恋心を抱くのはわからないでもない. 多くの場合、自分だけを特別扱いしてもらいたいと言う患者心理が働く. 中には依存性の人格障害の患者もいて医師から見放されるのではないかと言う強い不安症状である. 長いつきあいになるとつきあいでこれ買って下さい,この人に会って下さい,こんな人を紹介して..... でも患者さんと恋に陥ることは医者としてのモラルが許せないのである. しっかりしないと三面記事を賑わすような事にもなりかねない. 教師は生徒との問題も多く出るが,教師はもっと自制して欲しい. 中には明らかに誘惑としか思えないラブレ-タを貰う事も多い. しかし、私達医師は学生の頃から医のモラルや患者の心も学んでいる事、臨床経験の中で訓練している. 奉仕精神の旺盛な若手医師は増えつつある依存性人格障害の疾患もしっかり知っておくべきである. 医師と患者との信頼は保ちたいが、限度ある許容の姿勢も求められるのだ.