外来の裏話

カルテNo,49 仮病には騙されないぞ

患者
6才の男児
主訴
腹が痛い
ストーリー
本日の未明(5月の月曜日)3時45分頃の出来事. 家内に「基くんが急におかしい」とおこされた. 本人は「お腹が痛い」と言ってうずくまったまま,動かない. 診察するとお腹を触っただけでも「痛い」と泣き続ける. 医学用語で言う立派なブルンベル徴候と言って腹膜炎の所見であるが熱もない. この患者は不幸ながら,お腹に手を触られた瞬間に仮病を見抜かれてしまった. 「何も異常はないから寝ろ!」と宣言し,解散した. 翌日,何時もと変わらぬ朝を迎え,普通に通学したのである.
考察
子供は二人目が産まれると一人っ子としての楽しみが吹っ飛んでしまうから親の注意を引こうとする. その簡単な方法が仮病である. 同情心を買い,かわいそうと親に思われたいのである. 許せない仮病にどれ程多くの親が騙されるかは分からない. 必ずしも仮病ばかりではない. 特に喘息やアトピ-などの子は過保護の影響が時として認められる場合がある. 5月には5月病,月曜日には月曜病がある. 大人に限らず,子供にもストレスがある事を忘れてはならない. 危うく,救急車でも呼んで救急病院に運ばれていたかも知れない. 果たして,家内は夫が医師であるありがたみを果たしてどれ程感じたのだろうか? ただし,仮病の鑑別は必ず医師の診察に任せて下さい.