外来の裏話
カルテNo,50 何しに来たの?
- 患者
- 33才のセ-ルスマン
- 主訴
- のどが痛い
- ストーリー
- 普通の診察が行われていた.
「昨日からのどが急に痛くなって.....」
形通りの診察が終了し,本人の希望もあって熱もないのに注射をして帰らした.
三日後の暇な時間に来院し,「先生,のどはお陰様で良くなりましたが今度は咳が.......」
「先生はこんなものにはご興味はありませんか?」といきなりパンフレットを出してきた.「金の投資?」
患者さんだと怒れない.半分話を聞いて上げて彼の帰りを待ってゴミ箱へ.
- 考察
- なぜか,開業医の名簿が長者番付け名簿に化けて売られている.
彼らは診察時間を調べて昼休みや診察の後に正確に電話してくる.
一番多いのは駅の広告看板業者,不動産,投資などである.
この患者が常習犯か偶然かはしるすべもない.
当院では押し売り一切お断りと入り口に書いてあるし,受付の方には電話の場合,
用件を聞いて切って貰っている.
中には,00さんいますか?といって友達のフリをしてかけてくるのもいる.
たまに聞いてみると,殆どがワンパ-タンで節税対策の説明から始まる.
それにしても,色ぽい声で女の子の棒読みのセリフ(?)は良く考えたのである.
この患者はその点大胆不敵である.良くも敵地に乗り込んできたのである.
優秀なセルスマンかのわらをつかむ気持ちの成績の悪いクビ寸前営業マンか?
手答えの良い医院は○印をつけて高額で名簿が出回るらしい.
相手にしてもらえない医院は×印をつけるらしいから「×印つけろ」と言うと慌てて向こうから先に切る.
これらの立派な診療妨害を取り締まるのは院長自身の努力である.